今までの人生健康そのもので生きてきた私にとって救急車に乗ることは初めての経験でした。
赤ちゃんの傍には女性の方が手動でポンプをシュコシュコと肺へ空気を送り続けてくれています。
道中会話で察したのですがその女性は小児科の医師らしいのです。あとで聞いた話ですが偶然付近にいたらしく駆けつけてくれたそうです。
私はそんな光景を目の前にして赤ちゃんが生まれてすぐ入院するなんてよく聞く話だしきっと助かる大丈夫と思っていました。そう思いたかったのかもしれません。
安心したかった私は車内で必死に処置をしてくれている先生に思っていることをそのまま伝えました。
私「赤ちゃんが生まれてすぐ病院へ運ばれることはよくあることですよね?きっと無事に帰ってくるんですよね?」
先生「これはよくあるような様態ではありません。事態は一刻を争います。」
突きつけられた先生の言葉に私の都合のいい想像は打ち砕かれました。それでも、まだきっと無事に帰ってくる。そう信じて処置室へ入っていく赤ちゃんを見送りました。
私は赤ちゃんを見送ると看護師さんに案内され打ち合わせで使うような小さくて真っ白な部屋に通され、2,3時間待つように言われました。
時刻は20時を回っておりました。朝一から出産に向き合っていた私は心身が疲れ果て気が付くと寝てしまいました。今思い返すとこんな大事な時によく寝られるなと思います。
待つことしかできない私は妻へ病院へ着いたことを連絡してそのままスマートフォンで”赤ちゃん 入院”やら”赤ちゃん 救急搬送”など調べ始めました。
検索した内容はとても怖いものばかりで恐ろしくなった私は考えることをやめ、信じて待ち続けました。
次回ゆずの歩み④へ続く