時間は刻々と過ぎ日付が変わろうとしていました。
コンコンと無音だった部屋にノックの音が響き先生が戻ってきました。
先生は出産時に起きたことを説明し始めます。
先生「出産時に何らかの原因で呼吸ができずに生まれてしまったため現在呼吸器を付けて安静にしております。ひとまず命に別状はないので安心してください。ただ運動機能などに後遺症が残るかもしれません。」
私はまず”命に別状はない”と聞いて初めてそれまでは命が危なかったんだと実感しました。
緊急搬送されたのだから危険な状態にあるとは思っていました。しかし不思議なことに命が絶える想像は全く想像していませんでした。
次に後遺症と聞いて涙が出てきました。
一通りの説明と入院や処置に関する書類を大量に渡されサインしたりして本日はもう遅いのでと帰路に着くよう促されました。
帰り道はぐったりとうなだれて泣きながら歩いて帰りました。
道中”後遺症”という言葉が頭から離れませんでした。
目が見えないかもしれない。
耳が聞こえないかもしれない。
車いすで生活することになるかもしれない・・・
そんな考えが頭をグルグルめぐって悪い想像をしては涙が出てを繰り返し妻が出産を終えて入院している病院に到着するころには涙も枯れ果てていました。
次回ゆずの歩み⑤へ続く