私は心がボロボロになりながら会社へ出社しました。
すると近しい社員一同から出産祝いをくださいました。ありがとうございますと思いながらも素直に喜べない自分がいました。
これから仕事を続けていく上で娘のことを話しておかなければいけないと思い上長に時間を作っていただき相談をしました。
娘が生まれてすぐNICUへ運ばれたこと、後遺症が残るだろうこと、話しているうちに涙が止められなくなってきて説明しながら会社でも大泣きしてしまいました。
上長は「そうか・・・。大変だっただろうけど頑張るしかないな・・・。」といって慰めてくれました。
情けない姿を見せてしまいましたが全て話して周りに協力してもらうことは今思い返しても必要だったと思います。
日本には子供が生まれて2週間以内に名前を役所に届けなくてはいけないというルールが存在します。名前を付けるということは自分の子供と認めることになります。
ひどいと感じるかもしれませんがこの時の私は自分の子供だと認めたくない、育てる自信がないと悩んでいました。
いつかニュースで見たこどもポストが頭をよぎり親としての責任から逃げてしまいたい気持ちです。離婚して全てから逃げてしまいたい。
とにかく今の気持ちを自分の中で抱え込むことはできなくて誰かに全て打ち明けたい・・・。
楽になりたい・・・。
頑張って生んでくれた妻に話すことはできなくて自分の母に電話しました。
「子供の名前決めなくちゃいけないんだけど、自分の子供だって認めたくないよ。育てていく自信がない・・・。」
当然ですがめちゃくちゃ怒られて電話を切られました。
どうしようか悩みながら家に帰ると妻が暗い部屋で魂が抜けたように佇んでいました。
私は自分のことで精一杯で妻のことを思いやる余裕はなかったですがこのとき妻は健常児に生んであげられなかった後悔に押しつぶされて廃人になっていました。
あぁ・・・
私がしっかりしなければ、妻はいつベランダから飛び降りてもおかしくないな・・・。
そんな姿の妻を見てこどもポストや離婚を考えていた私は自分を戒め、少し落ち着きを取り戻しました。
柚子の花言葉には”健康”の意味があるようです。
私は我が子の健康を願って柚の漢字を子供の名前に使いました。
このブログのタイトルにもなっている”ゆず”はそういう由来で付いています。
次回ゆずの歩み⑦に続く